Last Message
終幕の半分
――私、恋してみたいし、愛してみたいわ。
……ずっとしてはいけないと、
貴方に想いは寄せてはいけないと思っていたから。
だからこれからはたくさん貴方に恋して愛するのよ。
Arsinoe Eos Kyklos * Birthday 6.30
ご挨拶
「half of breath」終幕おめでとうございます。瀬見様、参加された皆様、お疲れ様でした。そしてありがとうございました。絶賛「half of breath」ロスに陥ってるアルシノエPLです。とても楽しい時間でした。願書を作成し応募した時は勿論、割と終盤まで死ぬ気満々だったものですから、こ、こ、んなハッピーエンドを迎えて……、いいのですか?と何度も狼狽しつつ周囲を見回してましたが、皆様ハッピーエンドでとてもにっこりしました。
世界を作ってくださり、また日々世界を整えてくださっていた瀬見様、本当にお疲れ様でした。素敵な世界をありがとうございます。
そしてご縁を頂いたリューヌPL様、ありがとうございました!お陰で最上の物語を描くことが出来て本当に本当に楽しかったです。リューヌPL様、リューヌ様への想いはまた後で本編の内容に触れる際に思い切り書かせて頂きます。
たくさんお話ししても良いとの御言葉がありましたので甘えてつらつらとお話をしていきたいと思います。よろしくお願いします。
まずはアルシノエの設定というものからお話しさせて頂くと名前はキュクロスという単語を念頭に置きまして同じくギリシャ語の中に存在しているものから頂きました。神の要素だったり妹の要素だったりがある名前でありつつ、そこまで有名なこれ!という固定のものがあるわけでもないのでちょうど良いかなと。エオスに関しては国の信仰の対象に王室も含まれておりましたので王室の者は皆何かしら神に関する名前があると面白いですねーとそんな安直さです。エオスという名前や色名からお分かりのように太陽のモチーフをたくさん入れたのは太陽のような明るい女の子をやってみたかったのですが、果たして出来たのかどうか……という辺りには頭を抱えております。ヴェールに関してはこのお顔のアイコン使いたい!から入ったので後付けにはなりますが、双子の違和を無くすための象徴物として王が被せていたか、もしくは身分の高い女性は皆被っていたか、そんな辺りなのかなあと思いつつそこは本編には関係ない部分なのでふわっとしております。どちらにせよ、彼女らが他人に顔を見せるのはあまり好ましくないと父は考えていたというのには変わりません。あとはアイコンありきでしたので、肌の色が少し濃いめだな?気にされる方もいるかも……と思い母を異国の人にしました。プロフィールの一言は骨か髪か灰を撒いて頂くか、死んだ際に光か風の精になりたいの的な感じだったのですが、まさか本編中に口にすることになり、その上本人が自ら行ってしまうとは……で……、こんなに幸せになって良いのでしょうか……。妹の命が潰えたら姉が歌を歌えるようになるというくだりが頭の中にあったのですが、この妹は全部全部持って行ってしまって……罪深いなあと我ながら弱りました。姉にはこれからいっぱい幸せになってもらいたいです。彼女の方が苦労していると思うので。歌というものがちょろっと今出たのですが、姉は実はちゃんと歌えます。歌えないことにしているのは妹が勉強などが出来ないとしているのと同じ理由です。妹は姉を立てる為に自分が出来ない方になることを物心つく辺りで選択しています。生まれた順番は変えられない以上屠られるべきだった自分が劣っていた方が上手く回ると理解したからです。妹は隠しているつもりですがそれを姉はちゃんと理解していて、姉もまた引き換えに父親が喜ぶ歌を妹にあげることにしました。なので姉は同じように歌えますし、妹は努力をすれば姉と同じように賢くなれました。姉はその内熱りが冷めた頃にぽつんと歌を歌い出すのでは無いかしらと思います。嫁いだ後遠きキュクロスの地に触れた時、或いは子どもが産まれた時とか。
さて、本編のお話ですが毎度毎度文字数オーバーで、物語の佳境だからセーフ、スレ立てだからセーフ、締めレスだからセーフと唱えながらブルブルしつつ投稿しておりました……。申し訳ありません。でも一参加者の気持ちとしては推奨文字数があることであまり構えずに参加出来たので助かりました。文字数オーバーしておきながら言うのかという感じではありますが。一応頑張って削っていたのですがそれでもあれでした……。そして色々と削った部分、言外に含めた部分をリューヌPL様が幾度も拾ってくださるのでエスパーですか?といつも感動しておりました。ありがとうございます。タイトルをはじめとしてロールの中でもたくさん言葉遊びをいつもして頂き本当に本当に楽しかったです。常に美しい言葉で物語を紡がれる素敵なリューヌPL様は勿論ですが、最初から最後までPCであるリューヌ様が素敵で素敵で初手からPLが惚れておりました。なのでアルシノエが一目惚れしたような感じに出来上がってしまったのではないかと不安ではありますが、あんなに素敵な騎士様を好きにならない人がいるわけないと思います。思います!
序章ですが、まずは私はタイトルにやられましたよね!ね!わあ拾ってくださってるーと早速ひっくり返りました。そして今見るととてもとてもアルシノエが姫様をしていてPL本人がびっくりしてます。ここで私が意識してたのは、先に出会ったからというのは勿論ですがリューヌ様の美しさを見つけたのは姉が先ということです。妹もそれをわかっているのとどうせ自分は外に出れないしあんまり関係無いやーぐらいの軽い気持ちで最初は接してます。それが鈴蘭辺りからころっと変わってしまって……はい。
一章ではもう完全に甘えモードに入ってしまってるので、きっとこの序章と一章の間にいろんなやりとりがたくさんあって、それから会えない時間もたくさんあって、余計に募る想いがあったのではないのかなあと。自分が会えない間に姉は会っているのだろうというその辺りがアルシノエの気持ちには大きな影響があったのではないかなと思います。それもあってのタイトルでした。で、ここでなんとなく出した貴人、広げてくださってのラ・トレモイユ公が姉が後々嫁ぐ先になったのだと勝手に解釈しております。そして一章はリューヌ様の優しさがとてもとても胸に苦しかったです。何も言えないもどかしさと何かを言う罪深さの苦しさを大いに楽しみました。ありがとうございます。
二章はそれは何はともあれ戦闘シーンですよね!リューヌ様は勿論ですが騎士様方の勇姿に、それから姫様方それぞれの反応に一読者としてとても楽しませて頂きました。ありがとうございます。もうこの辺りからアルシノエの内面に関して何か語るのは野暮になるかなあと言う気がする物語の進み具合でして、ここからは語るのは控えめにしたい気持ちです。二章はテンポ良く進んだおかげか三つの場面を描くことが出来たのもあって、本編の一番の山場だったかな思います。二人の関係に転機が訪れたといいますか、これからの感情の描き方や物語の焦点をどの方向へ舵を切るかがPLとして定まった章でした。別項目である好きなシーン抜き出しはこの章だけで幾つも抜き出せそうなぐらいに二章は大好きです。三つの場面どれも山場過ぎて、もうリューヌPL様、リューヌ様素敵な物語をありがとうございますとか言えません。どのシーンも頭の中で映像として浮かびます。
三章四章は物語としての雲行きが怪しいのですが、アルシノエ本人はある程度元から覚悟していたことなので本編中にあるように動揺よりも安堵の方が強いです。そこに勿論寂しさや悲しさもあるのですが、それ以上に漸く罪人が裁かれる日が来たという安堵でしょうか。でも未来への希望を語ることになるのですごく不思議な感覚でお話を進めていたのを覚えています。心は終焉を漸く感じ取ることが出来て底無しの空っぽなのにそこに愛しい人がまた別の未来の希望の光を与えてくれるのですよ。とても三章は難しい章だったような気がします……。そして四章は姉ばかりが恵まれていたわけでなく姉から見た妹はとても眩しいのではないのかなあとそういう話でした。
終章はお話の進め方が難しくてうんうん唸ってました。もう少し引き伸ばした方がいいのかしらとか思いつつも、ここまで散々未来の話や外の世界への憧れをしておいて今更駄々をこねるわけにもいかないだろうと。そして何よりこちらが思っていた以上にリューヌ様がどんと構えて来てくださっていたんですよね。だから安心して未来を託すことが出来たといいますか……。あと他の何を言い忘れても〆レスで怒涛の回収をしてくださって、うわー!うわー!と読みながら平伏しておりました。終わりが近づくにつれ終わるのが本当に寂しくて寂しくて、しょんぼりしていました。もう……。そして終章の辺りは日の出と共に細い月が見える時期でしたので、基本的に朝日が昇るところを見る生活をしている私は毎日なんともいえぬ切ないような嬉しいような気持ちで夜明けの空を眺めておりました。
エピはですね、もうお話するのも野暮も野暮なのですが、タイミング的に先に投稿させて頂いたこちらのエピに潜めた色々を余すことなく回収して頂いてPLとして本当にありがとうございますという気持ちがいっぱいでした。あと騎士でなくなったリューヌ様が新鮮で新鮮で素敵な御褒美をもらってしまったなあとホクホクしておりました。
全編通してリューヌ様とリューヌPL様がいつもいつも美しい物語を描いてくださり、また物語の先を照らしてくださり、とても楽しい日々でした。大切な思い出として私の心の宝石箱の一番良い場所に収めさせて頂きたいと思います。とても幸せでした。
本当に楽しい本編をありがとうございました。ペアアンケートでリューヌ様の御名前を挙げた際に「彼の信じる信念や未来がどう変化するのかを側で見てみたいです。」と書いたのですが、それが叶いまして今とても幸せです。このラスアンを書いている時期はお昼に真白い半分の月が空に浮かんでいます。外で歩きつつもそれを見るたびに「half of breath」様のことを思い出してしまっていました。これからもきっと何度も思い出すのだろうなあと思いながら、勢いのままに長々と書き連ねてしまいましたものを此処で終いにさせて頂こうと思います。お付き合い頂きありがとうございました。
 瀬見様と、全ての姉妹と騎士様たちがこれからも幸せであることを願っております。
あの日のこと

いいえ。ご婦人を喜ばせる社交のレッスンは、勤めの内では特に……。……本心を述べたまでです。姫のお喜びに繋がるのであれば、今後もその都度正直にお伝え致しましょうか。未だ見ぬ貴女様の美点も、きっと多くあることでしょう。(律義に返答を紡ぎかけ、これも戯れかと気付くまでに数拍掛かる不作法さ。エスプリの稽古は甚く不足していると、心ならずも証明している事だろうか。さりとて実務に備えて剣と魔法の鍛錬に勤しんできた刻をも、暁の姫君は蔑ろにせず胸に留め置かれる模様。その懐の深さもまた美点の一つと察するに足りた。言葉に代えてごく僅かに唇を弛め、はいと首肯を一度。常に優しく湛えられる笑みといい、無邪気さの合間に母なる大地の慈愛をも感じさせる――それでも間違いなく、一人の乙女であると。祭りで踊っていた娘達と同様に十七を数える少女なのだと、向き合う距離だからか如実に伝うようだった。)[序章]

このリューヌ様のまっすぐな飾らぬところがアルシノエも私も大好きなのだと思います。可愛らしいとも思えるようなところに心を開くきっかけが幾つかあったのではないのかなあと。アルシノエはちょこちょこ悪戯を仕掛けますが、きっとこの時のような気付く顔が見たいのです。

今も今までも、我が君の所為で生じた問題など何一つない。貴女様が真に“半分”の存在であるならば、私の心も半分お貸ししましょう。取り零した事柄、深く仕舞い込みすぎた記憶……それらが必要となった時には、この身で宜しければお頼りくださいませ。世界に溢れる事象はきっと、その御手に納めるには多重すぎる。(水平に伸べた手は、滑らかな肌に触れる手前で止める。この細き腕は何の故か、一人で二人分の心を抱きしめているかのようだ。静かな視線を落としながら、詮無きことを物思った。)[一章]

リューヌ様のこの言葉がアルシノエの中でいろんな意味できっかけになりました。とても温かく心を歩み寄らせて下さっているのに、この場ではどうしてもそれに応えることも出来ないし、リューヌ様に対して嘘もつきたくないしという葛藤が……とてもとてもでした。

(淑やかに陽を取り込む肌の主は、纏う柔らかな白と今日も美妙な対比をなしていた。審美に疎き男でも充分に伝う、侵してはならない花の色。護るべき一人の姿。何の変哲もなき秋の景趣一つ一つに輝く眸へ、未知を知として収めゆく暁光の在処へ、万が一にも要らぬ記憶の像を結ばせてはならない――そう念頭に置いておきながら、窓硝子越しに先ず「そのままで」の一語を添えなかった点は完全な手落ちである。姫の表情を目の当たりにして、そんな時既に遅き自省が浮かんだ。手負いの影響で頭が回転を低めていたなどとは、無論言い訳の一つにもならぬ事実。莟の花唇は無音の侭に月の名を象ったというに、ふと聞こえた気がする純美な音色は疲労による幻聴か。僅かに揺らいで見える暁の雫色、シナモンの枝より遥かに華奢で優美な指、いずれにも込められたるは慈しみばかりだと距離の近さから自ずと伝う。対峙する月輪は緩やかな瞬きの手前に似て細め、口許もまた仄かな下弦に撓めた。案じなくとも良い、この身は大丈夫だと、音を織れぬ代わりに示すべく。礼をとる胸元からやおら離す指先は、寸陰ばかり姫と騎士との透明な隔てに触れる。体温が伝う余地もない掌同士を互いに合わせ、面に浮かぶ心情をも分かつように。)承知仕りました。お気遣い痛み入ります、アルシノエ様。[二章]

このシーンはアルシノエの気持ちが溢れ出しちゃったところなのですが、リューヌ様が同じように返してくれるとは思っていなかったんです。だからレス見た時にわー!となってしまって。本当に好きなシーンです。立場も抱えているものも確かに二人の間に壁として存在していて、一章で触れられない手はここでも決して触れることは出来ないのです……。

しかしながら、心外とまではいかずとも少々遺憾なものですね。その仰りようではまるで、約束がなければあなたの存在を忘却に帰してしまうと……それ程までに俺があなたと、おざなりな向き合い方をしているとでもお考えのようだ。(仏頂面で淡々と。職務中の男を知る者ならさしたる違和も抱かぬであろう、されどつい先刻までと比せば俄に温度を排斥した態の語り。優しき花の心が然様な意を込める筈がないと、無論よく知った上で。何のことはない、稀有にも覗かせる小さな意地悪だった。年下の愛らしき少女を揶揄する悪い大人、もしくは想い人の反応を楽しむ少年のような。即座にすいと視線を重ね合わせて「冗談です」と続けはしたが、その表情すら真顔とあっては果たして如何なる捉え方をされたものか――忘れぬと率直な誓約を口にすることは簡単で、だからこそ簡単になど言う気は起きなかった。一寸先が闇ならば、闇を照らすは舌先のみならず現の光が相応しい。)[三章]

意地悪するのですね!?と驚きと同時に新たな一面を拝見出来てとても嬉しかったシーンでした。アルシノエはびっくりしたでしょうね……。でもこういうちょっとしたところから徐々にリューヌ様とアルシノエの勢力図が変化しているのを感じられます。

(静かな宵だった。一人の男の胸中で、何かが静かに瓦解する音など誰にも聞こえやしない。各々の思惑ごと深沈たる夜気に包まれ、有るか無きかに溶けてゆく。夜更けに白鳩が一羽、城下町の方向へと羽ばたいてゆく。これもまた、終わりの始まりを綴じた一日。民には至極有り触れて平穏な、冬月のひと日に過ぎなかった。)[四章]

私はリューヌ様のこれまでが崩れるのをお側で見たかったのです……。だから見ることが叶い本望でした。四章は丸ごと全部ここです!としたいぐらいに大好きです。

エオス。(月と対をなすようで隣り合い、時に淡く重なり合いもする刻の女神。本名の片方を排した、されど確かに彼女を象る一部。真新しい名を一から紡ぎ直すことも、手放させるものの大きさを思えばきっと出来た。されど今後を共にと希えばこそ、彼女を形作った全てを否定せずに見つめたかった。円環に溶け込む形でなくとも命が確かに芽吹き、有り触れた愛とは異なれど親睦を育みもしたであろうこれまでを。近しい場所で咲く花を愛で、城壁の外へ憧憬を寄せ続けた眸の輝きを。垂れ込める雲の中で人知れず落ちた雫も、最早頬を濡らすことさえしなくなった優しき受容さえも。不要なものと忘れ捨て去るのではなく、胸に綴じた上で終止符を打ちたい。そんな一種の我が侭とも呼べよう覚悟の呼称は、果たして優しき音として響くかどうか。たとえお気に召さず叱られたとしても、正直な反応を見られたのであればそれはそれで幸い。面には一片の憂慮もなく、鷹揚に構えきっていた。)[終章]

序章のタイトルから此処に辿り着いたことにふわーとなりますよね。私はなりました。あとこの部分も文章の書き方に遊び心が含まれていてとても楽しませて頂きました……。ありがとうございました。

ああ、エオス。お帰り。(宿の一室にて、常のよう名を呼んで出迎えた。居を構えずとも互いの存在を互いの還る家と定めてから、すっかりと舌にも慣れた挨拶と共に。後ろ手に小さな秘め事を持つ様はすぐに知れて、さらばこそ急かすでもなく見守る。世界を知ったばかりの純真さはいつ目にしても微笑ましく喜ばしい限りで、見つめ待つ時間も当然に幸福であった。実の所此度はさしたる待ち時間を要することもなく、無邪気な両の手が取っておきのまことを明かしてくれる。見覚えのある白が、記憶よりひときわ美しく咲き誇っていた。)[エピローグ]

「お帰り」ですって!舌にも慣れてるんですって!わー!!!となりました。終章でエオスは我が家だと仰ってくださっていて、そこからの互いの還る家で「お帰り」ですよ。終章の後もしっかりと二人が歩んでいることを感じられて素敵な場面でした。