終幕の半分


西洋風ファンタジーな世界観、騎士×姫の王道カップル、理不尽な禁忌を隠した国……どれもこれもが好きな設定で、はじめてサイトにお邪魔したその瞬間「出した……(※願書を)」って確定ロールを回したことがつい昨日のことのようです。後日正式に(?)願書を出し、ありがたくも半分の姫のひとりとしてキュクロスにお招きいただき。アルバートさまという最高の騎士さまと出会い、恋をして……1ヶ月半、あっという間でした。洋風ファンタジー大好きなくせ世界史の成績は散々で、カタカナのPC名考えるのもすごい苦手なPLでして(つらい…)設定や展開等々、反省点は山ほどあります。アルバートさまPLさまにもたくさんご迷惑をおかけして申しわけなかったなと思いますが、それでも! とっっっても楽しかったとぜひお伝えさせてください……! 本当にとっても楽しかったし、お相手いただき光栄でした。PLとしてもPCとしても、アルバートさまとPLさまの優しさに包まれ、助けられて過ごした1ヶ月半でした。
騎士団のなかでも精鋭揃いであろう第一部隊を束ねる、若くうつくしい剣士さま。家柄も申し分なく、性格もおだやかで実直で……これでモテないは無理ですねって100人中100人言うハイスペぶりに、お相手を務めるとわかったとき「サラヴィリーナで大丈夫かしら……」と緊張を覚えたものです。でもアルバートさまは気取らず驕らず、急かさず丁寧にサラの心をほぐしてくださって……最初から最後までとっても優しくエスコートしてくださって、まったくの杞憂だったなと本当にありがたい気持ちです。付き人としてサラのもとに来てくれたのがアルバートさまだったから、サラはサラの手でこれからの“道”を選びとることができました。アルバートさまで本当によかった。このたびはお付き合いくださり本当にありがとうございました。アルバートさまのどこがどう好き…という具体的な話は、ここで始めると止まらなくなっちゃうので一旦やめておきます。笑 のちほど本編の抜き出しと併せてたくさん語らせてください!
最後になりますが、素敵なワールドセットとおしゃれなサイトデザイン(イベントタイトルずっと“Half of〜”だったのに終章だけ“One of〜”だったの最っっっ高にエモかったです………)、なにより細やかなお心配りでわたしたちを優しく見守ってくださった管理人の瀬見さま。このたびはお世話になりました! ありがとうございました。瀬見さまご本人のやわらかなお人柄が滲む日々のNoteも、Prologueや各章で綴られるもう一組の“ふたり”の物語も、素敵で大好きでした。お忙しいなかメールで優しいお声がけもいただきまして、とても嬉しく心強かったです。アルバートさまがペアさんだったから…というのも勿論ですが、瀬見さまが管理人さんだったから最後まで物語を楽しめたのだと心から思います。本当にありがとうございました。ぜひともまたどこか別の世界でご一緒できたら嬉しいです。
それでは名残惜しいですが、皆さまのラストアンケートを楽しみに結びとさせていただきます。あらためましてこのたびは素敵なご縁をありがとうございました。騎士さまと姫さま、嫁がれた姉姫さま、そしてPLの皆さま方のこれからにしあわせがたくさん訪れますように。
どなたさまもよいお年をお迎えください。ありがとうございました!
サラヴィリーナPL 伊織
(前室で、勧められたソファに座ることなく立ち尽くす男は、ふと鼻を擽る甘い菓子の匂いに、手に持ったバスケットの存在をようやく思い出した。無骨な男に似つかわしくない、水色のリボンが巻かれた可愛らしい籠。)[序章]
……っ、いや、あの、変なものが入っていないか確認しようと…!!母はすぐにお節介な手紙を入れたりするので……!![序章]
…私は、少しなら食べられなくもないです、(そこで切ろうとしたが、やはり思い直したように、すみません、と謝った)…実は苦手です。幼い頃母に、練習台として大量に食べさせられて以来、あまり受け付けなくなってしまって…[序章]
(正直、お茶会の初めての支度はほぼほぼついて回っていただけで何も出来ていないが、瞬く間に中庭の東屋に用意されたテーブルで、「お待たせ致しました、サラヴィリーナ様」と椅子を引くという一番の大役だけは仰せつかって、それだけで達成感たっぷりに笑う、付き人(レベル1)だった。)[序章]
(――初めて戦で人を殺めた日から、剣に生きて死ぬのだと決めた。王国と王家に忠誠を誓ったこの身のすべてを、今日からはこの姫君を守ることに費やすのだとごく当たり前にそう思った。そっと、あるじの白く細い手を取り、額に掲げる。)…私はあなたの剣で、あなたの盾です(必要なくなる、その日まで。――それが、はんぶんの姫と不器用な騎士の、物語の最初の頁だった。)[序章]
(アルバートがこんな風に素で軽口を叩ける相手はそういない。しかも相手はお仕えするあるじで、王家の姫君。人と人との境目をほぐすのが上手な方なのだと感じている。だから、彼女といる時間はいつもより僅かに饒舌になる。)[一章]
(――どうしたことか、困ったように揺れた瞳に、助けを求められた。「…少し失礼致します」と声をかけて、後ろから彼女の眦を指でむにいっと引っ張り上げてみせる)…こーんな顔の、双ツ首のこわーいドラゴンが襲ってきたところまでお話ししてもらっていたね?(その時彼女が自分でやっていた『ドラゴンの怖い顔』を再現すると、子どもたちがどっと受ける。自然に手を放しながら)…あの時は建国神話をお話しされておられましたね。一番いいところで時間になってしまって、皆続きを楽しみにしていたようですよ。[一章]
…すみません、力が強すぎましたか?……加減が難しくて。まだ痛みますか?(なにせ騎士の力だ。強く引っ張りすぎたかと、硬い指先でそっと柔らかな肌の紅潮を撫でる。それが齢十七の乙女の顔だとか、そんなことに思い至るほど男は繊細ではなかった。)[一章]
……これは、私が買いましょう(細い指先に摘ままれた紫陽花のピンを、ひょいと奪い去った。侍女長へのお土産を選ぼうかというあるじを置いて、ひとり会計を済ませてしまう。渡したのはきっと、店を出てすぐだ)…来年も、再来年も、あなたが私を必要として下さる限りずっと、雨に濡れた紫陽花を見に行きましょう(――ああ、そうか。俺は、来年の約束さえ怖くて結べないこの方に、形あるなにかを差し上げたかったのだ。)[一章]
ストールピンをつけるときの「何度も曲がっていないか確認して」も真面目な性格が現れていて好きでした。そのあと「満足そうに頷」くのも微笑ましかった。かわいい。
二本の角には毒がある!絶対に触れるな!!(響き渡る声を皮切りに、あちこちで戦闘が始まった。)[二章]
他の魔獣に狙われるといけませんので、このまますぐに出発して森を抜けようと思います。……怖い思いをさせてしまいました。本当に、申し訳ありません(本当は泣いていないか一瞬でもお顔を見たかったけれど、今己の顔を見ても恐怖を蘇らせるだけだと、馬車の外で深々と腰を折る)[二章]
安全は確認しましたので…よろしければ、召し上がりませんか?(掌に先ほど買った小さな包みを広げて見せる。色とりどりの金平糖がきらきら光っていて、「一緒に外で食べましょう」と子どものように手を引いた。)[二章]
(僅かな時間でも癒されてくれればよいと願う騎士は、自分も彼女の朗らかさにまた癒されていることに気づいているだろうか。もう一粒、と差し出された金平糖を有り難く頂戴しながら、ああ、とまじまじ、あるじの姿を上から下まで眺めて、今更腑に落ちたように頷いた)…なにか違和感がと思っていたら、本日のドレスが珍しいお色だったからですね。とても似合っておられますよ、桃色。可愛いです。(にこっと邪気なく微笑む。)[二章]
(――その時のアルバートは、やはり少し酔っていたのかもしれない。姫君のおわす部屋は二階のあの部屋だったかと見当をつけると、ちょうど手近に大木を発見し、またちょうど都合よく大ぶりな枝に足をかけられたのでつい登ってしまい、――ベランダへ辿りつけてしまった。)[二章]
…よく頑張られましたね(ぎこちなく伸ばした手で、いいこいいこ、と頭を撫でる。柔らかな髪がくすぐったい。)[二章]
……サラヴィリーナ様は、あなたの騎士があなたの“お願い”に決して背けないとわかったうえで、そんな難しいことを仰るのですか?(ひそやかな笑い声が夜のしじまに溶けて消えてゆく。そして微笑を浮かべたまま、その白い手をそっと掲げ持つ。初めて誓いを立てたあの日と同じように。)――かしこまりました、我が姫君。必ずお守りします。[二章]
いざというときは身を挺して……という決意は実は揺らいでなくて、それでもここで「初めて嘘をつ」いてくれた優しさが沁みます。(ただ、簡単に投げ出さないための最大限の努力はしようと誓う。この姫君が泣くことが、この姫君を喪うことの次に怖いから。)このロールもすごく好きだし、すごく嬉しかったです。無事でいてほしいと伝えることで、アルバートさまの意識をちょっとでも変えられたんだなあって。
(――しっかりしなければ。自分で自分に言い聞かせて、ゆっくり目を開けると、少ししゃがんであるじと目を合わせた。じっと、その澄んだ瞳の奥をみつめて、ふわり微笑む)…サラヴィリーナ様の御心のままに。……と言えたらかっこよかったのですが、本日は私の我儘を叶えて頂けませんか?[三章]
ただ、サラヴィリーナ様がおひとりであろうと、半分であろうと、――双ツ子であろうと、私が“この方”をお守りするのだと決めておりました。(ならば最後まで、何も知ろうとしないまま、国益のために婚姻されるサラヴィリーナ姫を笑顔でお送りすればよかったのかもしれない。それが在るべき従者の姿なのかもしれない。けれど、我慢できなかった。泣くことさえ器用にできない彼女を、これ以上“ひとりぼっち”にしたくなかった。そう、二人でひとりを演じておられた筈なのに…泣きそうな顔で笑う彼女は、途方もなく孤独に見えた。)[三章]
どちらが欠けても、サラヴィリーナ姫はこうして皆に愛される末姫にはなれなかった。もっと…あなたは、もっと、ご自分を褒めてあげるべきです。(こんなふうに魅力的に、柔らかく笑えるのに。)[三章]
(one and only.)[四章]
冒頭、忠義のひとであるアルバートさまが国の長に対して語気を強め詰問する姿が印象的でした。衝動的に切りかかるほどの憤りを感じてくれたこと、本当に嬉しかった。めちゃくちゃかっこよかったです。そのあとの「なぜ、俺だったのです」「ヒューバートの息子だからだ」というやりとりもすごく好きでした。わたしが王のことを「普通の父っぽいところもある根は優しい人」みたいに描写したせいもあり、PLさまの選択肢を限定してしまった部分もあったかなと反省しているのですが(「すべて演技だったのだフハハ…!」→王がラスボス的な展開になってもそれはそれで最高でしたが笑)≪真意と発言は別の場所にある≫ ≪王は騎士に姫を託した≫という方向に舵を切ってくださって、嬉しかったです。多くを語らぬ王と騎士の緊張感、とってもエモでした……。
それから場所を移り、自宅にて。父と息子の最後の晩酌も涙なしには見られません。わたしは家族仲のよいヴェリテ家の描写がとても好きだったのですが、「自室の整理を始める。」という一文で次章の展開を完全に理解してしまい……もう胸が苦しい。お母さんすごく悲しむだろうなとか、お父さんもっと話したいことがあったんじゃないかなとか、アルバートさまから家族やふるさとを奪ってしまうんだな…とか……申しわけない気持ちでいっぱいで、でも同じくらいアルバートさまの決意に感激もしました。サラはしあわせものですね。
(ひとりひとりに手紙をしたためるのは思いの外時間がかかって、空が白み始める頃、からっぽの部屋で少しだけ眠った。――夢を見た。小さな町で、共に見上げた星空。きれいだったなあ。)この結びも抜群に好き。きれいだったなあ、で泣きそうでした。心臓ぎゅってなりました……
――それでもあなたに残されたものを数えてみて。健康な体、乗馬の技術、今まで得た知識、ビビ……“あなたが選ぶ限り”、俺もいる(“あなたに”選んでほしいのだと、伝わるだろうか。あなたがたったひとこと願ってくれるだけで、あなたのためにやれることがまだこんなにある。)もう、誰かのために生きなくていい。誰に望まれなくても、あなたはあなたが選んだ道を歩む権利と責任があるんです。(ようやくいつものように気の抜けた顔で笑えた。言葉とはこの時のために在ったのだと思えるくらい、もう言うべきことは何もない。)[終章]
(“死にたくない”――強い本能は、なんと美しいのだろう。こんな状況だというのに、一瞬呆けて見惚れてしまった。「ああ、」と感嘆が呼吸に紛れて無意識に漏れる。)……最高です、我が姫君(彼女の脇に手を差し込んで立ち上がり、小さな子を“たかいたかい”するようにそのまま高く抱き上げる。)[終章]
……はい、俺もそう思います。真実がもう永遠に闇の中ならば、――自分の信じたいように信じていいのだと、思います。陛下を…“お父さま”を、好きなままのあなたでいていいのだと。(彼女には誰かを恨んで、憎んで、生きてほしくない。国を守る唯一の立場に立つお方の本心はわからない、厳しいお方だ、親子といえど情に流されるようなひとではないのかもしれない。けれど――愛娘を頼むよと、託されたと思って生きていきたいのだ、自分が。この手は彼女を殺めるためではなく、守るためにあるのだと信じたい。)[終章]
(最後に残すことは何もない、と言い切った彼女が見せるカーテシーは、――今までに見たどれよりも美しく、気高かった。きっと父王のことを、そして――片割れの末姫のことを、想っている。そちらが城の方角だと思って、アルバートも深く敬礼した。)[終章]
(食器棚から皿を二枚、カップを二つとティーポット、そして持参した荷物からは――花の紅茶の茶葉と、ブルーベリーのスコーン。掲げて見せて、子どものように笑う)……侍女長のように完璧には淹れられませんが、これでもあなたの付き人でしたからね(彼女の好きな茶葉と甘い菓子。適温の湯を注げば、ふわりと開いた茶葉から花の香りが立ちのぼる)――如何でしょう、だいぶ上手になったでしょう?[終章]
――そしていつか、何年後、何十年後になるかわかりませんが……キュクロスへ帰りましょうか。…紫陽花の咲く頃に(あの時交わした約束を、必ず実現させるために。)[終章]
……俺が、あなたの名前を……?(頭がくらりと揺れる。)……それは責任重大ですね………(と言ったきり頭を抱え込んでしまい、落ちる沈黙。すっかり紅茶が冷めた頃、「…すみません、緊張しすぎて簡単にはつけられそうにないので、お時間を頂いてもいいですか?」と宿題を持ち帰ること、数日もしくは数十日。)[終章]
あなたの名前は……
(それは、二人の育った国の言葉で“光”をあらわす。あなたは、永遠に、俺の光だ。)[終章]
ほんとにほんとにほんと~~~~にきれいで優しい結び、大好きです。「名前は……」で~fin.~なのも最高にエモい。余韻がすごい。素敵な物語とあふれんばかりの愛をありがとうございました……アルバートさまと出会えて本当に本当にしあわせでした!
……だから何度来ても、エメはお前にはやらないと言っているが。[エピローグ]
(――この小さな町の外れに、馬小屋付きの小さな家を借りて住み始めてから、アルバートの“妹代わり”のエメが求婚されるのはこれが初めてというわけでもない。)[エピローグ]
……とりあえず今日はもう帰ってくれないか。エメがそろそろ戻ってくる。…話しだけは、してみる…つもりだ。……できたら。タイミングがあえば。[エピローグ]
(エメだけが、アルバートが触れられる女性なのだということは、彼女はきっと知らないままだろう。だから彼女がアルバートの許を飛び立つ日がきたなら、アルバートはその先は一人で生きていこうと決めていた。)[エピローグ]
……ごめんなさい。あなたが誰かのものになるのは嫌だと、思っています。(彼が持ってきたように花束も、指輪も、何も用意なんかしていない。気持ちだって今気づいたばかりで――でもひとつだけ確かなのは、この世の誰よりも、あなたのことが、)好きです。大好きで、大切です。…一生、俺が大切にしたいんです。(言葉よりも雄弁にこの熱で抱きしめて、伝われ、と祈る。星がひとつ流れ落ちたのを、不器用な傭兵は知らないまま。)[エピローグ]
――かならず守って。絶対に、だれのことも傷つけないで。
わたしだけではなく、アルバート。おまえ自身も含めてよ。